誰が口を彩る真言その御名(みな)は 君の口にぞ法を移さん
滴塵026
本文
誰が口を彩る真言その御名(みな)は 君の口にぞ法を移さん
形式 #短歌
カテゴリ #1.仏法・教義
ラベル #仏 #念 #声 #修行 #精神 #密教 #真言
キーワード #真言 #法 #口伝 #信仰 #功徳
要点
真言を唱えることで法が移される比喩。口伝の尊さと信仰の力を表す。
現代語訳
誰かが口にして真言を唱えると、その御名を唱えることで、君に法が伝わり、君の口からまた誰かに法が伝わるのだ。
注釈
真言:マントラ。仏教、特に密教で用いられる、仏の真実の言葉や教え、功徳を秘めた特別な言葉。
その御名(みな):仏や菩薩の聖なる名前。
法を移す:口伝や唱えることによる修行や功徳の伝達。真言の力や仏の教えを、人から人へ、あるいは仏から弟子へと伝える。
解説
密教における真言の力を強調。言葉を通して法や功徳が他者に伝わることの重要性を示す。唱える主体と受け手の間に生まれる霊的結びつき、修行の意義を描いた作品。
深掘り_嵯峨
この歌は、密教的な伝授と合一を主題としています。真言という「聖なる言葉」が、「君の口」を通して「私」に伝えられる、あるいは「君」の存在自体が真言となって、「私」に真理を移すという解釈ができます。
恋愛的な情熱と宗教的な儀式が融合しており、愛する人の言葉や存在が、そのまま仏の教えとなり、自分を悟りの道へと導くという、究極の信仰と愛の合一が表現されています。